大空の唄
バンッ!
「空!」
鉄製の引き戸を勢いよく開くとそこには懐かしい後ろ姿があった
空だ…
部屋にはアンプやマイクなどの機材があり机と椅子もあった
空は椅子に浅く腰掛け腕を組んでいる
胸がキューッと締め付けられた
苦しい、とかではなく
嬉しくて…
「おせぇよお前ら…え…?」
ゆっくりと振り返った空の顔はイライラとした顔だった
しかしその表情はあたしを見た瞬間歪んだ
「久しぶり」
そう言って手を上げる
「は…?」
しかし空は相変わらず状況が把握できていないようであっけらかんとしていた
「人を幽霊でも見るような目で見ないでくれる?」
一歩一歩寄りながら嫌味っぽく言うと
「何でお前がここにいるんだよ」
空は更に顔を歪めた
「あたしがここにいたら悪いわけ?」