大空の唄
「いくらお客さん少ないからって
サボっちゃダメだよ?」
カラオケを楽しむ人の音にも負けないほど
大声で叫んだあたしは後ろに感じる人の気配に体が硬直した
「すみません!!」
あたしは恐る恐る振り返り
勢いよく頭を下げた
「分かればよろしい」
そこには腕を組み笑顔で頷く梨華さんがいた
周りが全く見えていなかった
周りの音が全く聞こえてなかった
あたしはごまかすようにあははと笑う
「最近ぼーっとし過ぎだぞ?」
梨華さんはそう言ってあたしの額をツンと人差し指で突く
「いてっ」
痛くはないけど反射的に漏れた言葉
それと同時にツンと突かれた額にも両手を添えた
梨華さんの言うとおりだ
最近のあたしはいろいろあったせいか
常に心ここに在らず状態
学校でも美咲によく言われる
“最近の絢音はなんか変”と…