大空の唄


「ほらまたぼーっとしてる!」


そんな梨華さんの言葉で自分が再び
意識を失っていたことに気付く


「す、すみません!!」


あたしは慌てて本日2回目の謝罪


「ほんと、油断も隙もないんだから」


梨華さんはそう言ってわざとらしく
口を膨らませたかと思うと


すぐににこっとほほ笑んだ


その笑顔はどこか小悪魔チィックで
何かを企んでいるようなそんな顔


「まあ、絢音ちゃんらしいけど?」


小悪魔な笑顔の梨華さんはそういうと
逃げるように背を向けた


「あはは…って
あたしが常にぼーっとしてるみたいな
言い方やめてください!!」


「え?違うの?」


再び振り向いてニカッと笑う梨華さん


もう!!


「違いますよ!」


そう言って次はあたしが口を膨らませる


その場はシンと一瞬静まり返った


にらみ合うあたしと梨華さん


少し遠くでカラオケで盛り上がる人の歌声や歓声が聞こえる


「ぷっ…あははは!!」


にらみ合いという名のにらめっこを制したのはあたしだった




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