大空の唄
楽器を片づけ綺麗に掃除をしたあと
俺らは慣れた手付きでお得意の変装をする
俺はちらりと陽の方を見ると「またそれかよ」とつぶやいた
最近の陽は女装が得意だ
もし翔がしてたら“実はこいつソッチの趣味が…”
とか思うんだろうが、何故か陽にはそんなこと思わない
陽は元々が女々しいからか、とりあえずかなり様になってる
むしろ様になりすぎて逆に心配なことがいくつかある
第1の心配要素としては地味系演じてる俺らが浮くということ
第2の要素としては…
「ねえ、そんな地味なのといないで
俺らと遊ぼうよ~」
またかよ…
「えーどうしよっかな」
そこら辺の女よりスタイルも顔も整っている陽は、逆に目立つ
そんな俺の心配をよそに陽は完全になりきって楽しんでいることが分かる
こいつらこれが男だって知ったら絶望するだろうな…
陽に声をかける男たちを横目にそんなことを思いながら、俺はしれっとその場を後にした