大空の唄


「みなさん本当にありがとうございます!」


そう言ってピックを持つ右を大きく振っている


妙に顔が熱くて


妙に心拍数が高い


どうしたんだ俺?


そう自分に問いかけるが答えが返ってくるはずがない


「ではメンバー紹介をします。」


ただ、いつも近くに居たコイツが妙に遠くにいるように感じた


「今日は私のわがままで先輩方が来てくれました。

ドラム、カズ先輩!!」


とても輝いていて、まるで俺なんて手の届かない遠くに行ってしまったような


「ギター、カイト先輩!!」


「ベース、ミサキ!!」



絢音から俺はいつもこんな風に映っていたのだろうか



「そしてアコースティックギターは私アヤネ!!」


ふとそんなことを思った


「次の曲は授業中に書きました」


そんなコイツの言葉に周りにいたみんなが笑顔になる


やっぱりアホはアホだろ?


また変なことを言ってみんなを笑わせている


そう思ってもやはり目が離せない


いや、だからこそ目が離せないのだろうか

< 303 / 378 >

この作品をシェア

pagetop