大空の唄
「みなさん本当にありがとうございます!」
そう言ってピックを持つ右を大きく振っている
妙に顔が熱くて
妙に心拍数が高い
どうしたんだ俺?
そう自分に問いかけるが答えが返ってくるはずがない
「ではメンバー紹介をします。」
ただ、いつも近くに居たコイツが妙に遠くにいるように感じた
「今日は私のわがままで先輩方が来てくれました。
ドラム、カズ先輩!!」
とても輝いていて、まるで俺なんて手の届かない遠くに行ってしまったような
「ギター、カイト先輩!!」
「ベース、ミサキ!!」
絢音から俺はいつもこんな風に映っていたのだろうか
「そしてアコースティックギターは私アヤネ!!」
ふとそんなことを思った
「次の曲は授業中に書きました」
そんなコイツの言葉に周りにいたみんなが笑顔になる
やっぱりアホはアホだろ?
また変なことを言ってみんなを笑わせている
そう思ってもやはり目が離せない
いや、だからこそ目が離せないのだろうか