大空の唄
ただでさえ早くなっていた鼓動がさらに早足になる
何も考えられなくて
ただ、目が離せなくて
ずっと聞いていたいような、そんな心地よさがあった
曲が終わった瞬間、絢音は緊張が解けたように安堵の笑顔を浮かべた
音楽界に居るからこそ、これまでたくさんの歌声を聞いてきた
でもこんな引き込まれる歌声を聞いたのは初めてだった
「ありがとう!」
そう言って声援に答える絢音
本当に、アイツの歌声、だよな?
信じてないわけではないのに、信じられない
そんな不思議な感情に混乱する
そして、いつものように手を振り笑顔を振りまいていた絢音の顔つきがまた変わる
「次は、最後の曲です」