大空の唄


「この曲は私が4歳の時に作ったメロディーに最近になって歌詞を付けたものです。


あたしには絶対音感があるわけではありません

ずっと一人で、寂しくて

毎日ピアノばかり弾いてました


ピアノを弾いているときだけは寂しさから逃れることが出来たから



でも・・・
そんなあたしを、救ってくれた人がいました」


絢音はギターをおろし両手でマイクを持つと
何かを思い出すようにゆっくりと語る


その表情はたまに見せるあの切なげな表情だった



「この曲はその人に出会った時に作った曲で、あたしが初めて作った思い出の曲です」


絢音はそう言って優しく微笑む


「そしてあたしは


この曲をその人に贈りたいと思います


あの頃のことを思い出して、伝えたかった伝えられなかったありがとうの気持ちを詰め込んで書きました…」


気が付けばそこにピアノが用意されていてそれが絢音の前に移された


そのキーボードに絢音の指が触れた瞬間


賑やかなはずの駅前から全ての雑音が消えたような気がした


「聞いてください

“for you”」






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