大空の唄
『泣いてるの?』
曲が終わり、俺を見た少女が慌てて俺に近寄る
俺は全力で首を横に振り涙を拭いて隠すように笑顔を作った
『悲しいの?』
無理に作った笑顔に気が付いたのかそう言って少女が顔を歪める
悲しいわけがない
この気持ちはきっと
『うれしいんだよ』
込みあがる思いを素直に告げ再び微笑むと
少女の目からも一筋の涙が零れていた
『なんで君も泣くの?』
慌ててそう問うと、少女は涙を拭いながら精一杯の笑顔で言った
『うれしいの』
その涙は、宝石みたいに綺麗だった
『教えてくれないかな?
その曲を…』
いつか月日が流れて世界が変わってしまっても
俺が記憶を失ってしまっても覚えていられるように
この瞬間を、この思いを、天使のような君の存在を…