大空の唄


「すみません!!休憩してたら睡魔に襲われて必死に戦ったんですけど相手が予想以上の強敵で後一歩のところで負けてしまいました


それで……えっと…結論を言うと
すみませんでした!!!」



フロントについた瞬間また周りを見るより先にそう言ってとりあえず頭を下げる



絶対…絶対何か言われる



仕事全部押し付けられる



下手したら給料全部取られる



「もう地味メガネ何て言いません
だから…今日は見逃してください」


すると


「ぶっ、ハハハハ」



えっ?



目の前から明らかに地味メガネじゃない誰かの笑い声が聞こえあたしはハッとして顔を上げた



「絢音ちゃん……最高…


てかアイツにどんだけ脅されてんの!?」


目の前にいたのは地味メガネではなくお腹を抱えて笑う瑛さんで


カーッ


自分の行動が恥ずかし過ぎて顔が熱くなる


「いや…えっと…

あ…アイツは!?」



赤くなった顔を隠しながら辺りを見回すが地味メガネの姿はどこにもない


「もうとっくに帰ったよ」


そう言って微笑む瑛さんの姿だけが目に映る


「怒って…ましたか?」


恐る恐る尋ねると


「ん?全然 むしろ絢音ちゃんの分まで働いて帰ったよ」



サラッとそう言って拭き掃除を始める



う…そ…嘘!?



「嘘じゃないよ?」


あたしが相当疑うような表情をしていたのか瑛さんは眉をしかめた




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