大空の唄
音は何を語る‐SORA‐
記憶の世界から舞い戻ったのと同時に絢音の歌が止んだ
「ありがとう!」
マイクを通して響くその声と鳴り止むことのない拍手
俺は、ただぼーっとその余韻に浸る
アイツが、あの時の少女なのか…
いや、でも…
頭の中で疑問が渦巻く
そうしているうちにたくさんだった人が
どんどん減り、数えるくらいになってしまった
ハッとして後ろを振り返る
「な、何だよお前ら…」
振り返った先にいたのはニヤニヤと口角を上げてこちらを見る翔と陽、そして莉華
「いや、何でもないよ?」
そう言いつつも上がりっぱなしの口角はそこに何かがある証拠だ
それに言い方も何ともワザとっぽい
「もう、何でもいいから行くぞ!」
そう乱暴に言って、混乱する自分から逃げるようにその場を去ろうと振り返った時だった
「待って!」