大空の唄



目の前には…


「絢音…」


今一番会いたくて会いたくないやつがいた


その瞳はまっすぐで、優しくて、でもどこか切なげで・・・



その瞳にとらえられた俺はもう視線をを反らせない、そう思った


湧き上がってくる様々な感情


その感情を整理出来ずにいると急に絢音の表情が歪んだ


それと同時にまっすぐだった瞳もうるうると揺れ始め


ついに大粒の涙が頬を伝って落ちて行くのが見えた


俯き肩を震わす絢音


「はっ!?

泣くなよ、バカ!」



ただでさえ色々なことで混乱してんのに・・・


何故人の顔を見た瞬間泣く?


理由が全く分からない


「だって…だってぇ~!」


絢音はそういうと顔を上げた


泣きじゃくる歪んだ顔、腫れた目
紅くなった頬と鼻、そして崩れた化粧


「ぷっ」


真剣な場面であることは重々承知だ



でも、あまりのひどさに笑いをこらえることが出来なかった





< 322 / 378 >

この作品をシェア

pagetop