大空の唄
先ほどよりだいぶ大きな声で発せられた声は
まっすぐ、正確に俺の耳に届いた
“蒼空が初めてあたしの名前、呼んでくれたから…”
「・・・」
照れくさそうに目を伏せる絢音を見て
俺の体温も徐々に上昇し始める
そんな、そんなことぐらいで…
そう思うけど、そんな俺の思いをよそに俺の体温は上昇を止めようとはしない
「ば、バカだろ、お前…。」
俺が、この俺が動揺するなんて…
「えっ」
絢音は大きく目を見開くとシュンと肩を落とした
「呼んで、くれないんだ…」
うっ・・・
止めろよ、そんな風に言うの
いつもみたいにぎゃーぎゃー言ってくれれば毒を吐けるのに…
予想外の反応を返され、気まずくなって俺は、視線をそらした
「蒼空、覚えてくれてたんでしょ?
あの曲・・・」