大空の唄
「何が悔しいの?」
そう言って俺を覗き込んだ絢音は、読んでいた雑誌を床に置いた
地獄耳か…。
もう恒例になってしまったこの光景
俺の部屋に絢音と陽と翔がいて、何をするでもなくただ各々がしたいことを自由にしている
「何でもねーよ」
思いがつい口に出ちまっただけだ
俺はそう言って近くにあった雑誌のページを捲る
「なーんだ」
すると絢音はそう言って退屈そうに口をとがらせた
やっぱ悔しいわ
俺は口に出てしまわないよう意識しながらチラリと絢音の方を見る
絢音は俺の視線には気付かずに再び視線を戻した雑誌のページを捲った
たしかに悔しい、でも認めてやらない
お前が大人以上に大人で
俺の方がガキみたいだなんて…
絶対に認めてやらないんだ