大空の唄
「もうすぐだね」
今日も陽の家ですっかりお馴染みなったいつものメンバーと過ごしていた
“もうすぐだね”そう言った絢音は楽しそうに笑いながら陽の部屋にある大きなクマのぬいぐるみを抱きしめる
いつも変わらないその笑顔で…
「あぁ」
だけど今日の俺らはいつもと違った
少し重い空気と3人の強張った顔
「まさかみんな緊張してるの?」
絢音に痛いところをつかれ3人の肩が同時に跳ね、3人そろって顔を歪めた
「緊張なんて…!」「するわけねぇ」「ねぇ!」
俺の言葉を遮り翔、そして陽が続く
いつもどうりのようで、3人の間に流れる空気はいつもの軽い空気ではなかった
絢音はそんな俺らの反応を見て一瞬目を見開くとふっと噴出した
「笑ってんじゃねーよ」
俺がそう言うと、絢音はごめんと言いながら笑いを堪えている
そして何とか呼吸を整えて口を開いた。
「大丈夫だよ!!
あたしも頑張るから」
絢音はそう言うと右手で拳を作る
がんばるって
「何をだよ?」
すかさずそういうと絢音は間抜けな顔をして
「応援に決まってるじゃん!」
応援って…
俺らは3人目を見合わせた
「恥ずかしいから
あんまバカなことすんなよ」
やっぱりコイツはバカだ
ため息をつく俺の後ろでは陽と翔がお腹を抱えて笑っている
「任せなさいっ」
絢音はそう言って楽しそうに笑うけど
「その笑顔が怖いんだよ」