大空の唄
どういうことって
「それは・・・」
言えない、言えるわけない
どんなに自分の気持ちに気付いていても
いや、“照れた”なんて、認めたくもない
言葉にしてしまえばほんの一瞬なのにその一言が、俺にとっては何より難しいフレーズだった
だけどこの張り裂けんばかりの鼓動だけは
いつだって正直者で、俺より何倍も素直だと思った
「何でもないよ」
俺は臆病者
そんなことは知ってる
もう、臆病だってかまわないとさえ思う
怖いんだ、この未知の感情に
流されてしまったらどうなるんだろう
何かを失ってしまわないだろうか
そんなことばかりが脳裏を駆け巡る
「何だそれー」
俺がこんなんだっていうのに
隣のこいつはむかつくほど平常心で
「そう言えばね!!」
上機嫌に何か話始めた