大空の唄
「ライブ、すごく良かったよ!」
そう言ってコイツの顔はいつもの笑顔になる
何の話かと思えばライブの話か
決して珍しい話題ではなかったが、今の俺にそれは禁句だ
最後に歌ったあの歌
このバカには、届いたのだろうか?
そう思うと、また体温が上がっていく
「あ、あぁ」
俺は、目線も合わせずに頷くことしかできない
「どうしたの?
やっぱ蒼空なんか変だよ?」
そう言って絢音は心配そうに覗き込まれ、俺は目をそらした
目を合わせたらいけない、直感でそう思うんだ
目を合わせたら最後
自分が自分じゃなくなってしまいそうな
そんな気がしてならない