大空の唄


掴んだ手をそのまま引き寄せる


「ちょ、蒼空!?」


慌てたように絢音が腕の中で暴れるけど


こんなか弱い女の力に負けるほど俺も弱くはない


俺は、絢音が大人しくなるまで無言で抱きしめた


「どうしたの?」


どうしたのじゃねーだろ


「お前のせいだから」


この想いが溢れてしまったらどうなるんだろう


いつしか俺はそんなことを考えるようになっていた


今まで感じたどんな感情とも一致しない未知の感情


「どういう意味?」


大人しくなった絢音は腕の中からちょこんと頭を出し上目づかいでこちらを見る



だから、その目は反則だって


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