大空の唄
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約4時間後…
「お疲れ様!よく頑張ったね」
調理場にある椅子に浅く腰掛け脱力していると瑛さんに頭を優しく撫でられた
瑛さんの優い手にすごく、安心する
「がんばりましたよ〜…」
初めは嫌と言っていた瑛さんも結局手伝ってくれて書かれていた仕事をなんとかこなす事が出来た
「絢音ちゃん、偉いよ!!」
そう言ってくれる瑛さんがいなかったら…きっとあたしはとっくに挫折していると思う
瑛さんの優しさには感謝しなきゃな…
そして、アイツも瑛さんみたいな優しさがあればな…
そんなことを考えながらありがとうございます、と笑顔を向けると
「そろそろ、彼が目覚める頃じゃない?」
瑛さんがニヤリとドアの方へと視線を変えた
彼?彼って…まさか…
瑛さんの言葉の意図を察し視線を変えて立ち上がったのと同時に調理場の扉が開いた
「仕事、終わった?」
そこから現れたのは寝癖のついた頭をボリボリかきながらまだ眠そうにアクビをする蒼空…
「終わりましたよーだ」
「そっ、ぢゃあ俺帰るから」
ジャンパーを羽織り荷物を持って登場した蒼空
誰から見ても帰る支度を完璧に済ませているとすぐに分かる
ふざけるなよと言いたい気持ちを飲み込み妙に慌てた様子の蒼空の腕を掴んだ
「何でいつもそうやって急いで帰るの?
何か用事でもあるわけ?」