大空の唄



足止めをされたことが気にくわなかったのか眉間にシワを寄せる蒼空は


「お前には関係ねぇ」


そう言って手を振りほどこうとするが


離すもんか


あたしも負けじと腕を掴む手に力を入れたのでその手が離れることはなかった



「離せよ…」


更に機嫌が悪そうに顔をしかめる蒼空



「じゃあ答えて


いつも急いでどこ行くの?」


そして一歩も引かないあたし


2人の間にバチバチと火花が散る


焦らされたり隠されたりすると余計気になる、人間ってそんな生き物


そうやって睨みあっていると急に蒼空が表情を緩めふっと鼻で笑いだし


捕まれていない方の手をあたしの顔に近付け始めた



「な…何?

…痛いっ」


手に気を取られていると額に痛みが走り反射的にそこを手で押さえた


「痛いじゃない!!」


痛みの原因が蒼空にデコピンされたことだと分かったあたしはそう言って蒼空を睨み付けたが蒼空がなぜか妙に笑顔で楽しそうで…


あたしは意味が分からず首をかしげた


「バーカ」


そう言った蒼空はあたしが掴んでいたはずの手を宙でひらひらさせてあたしから遠ざかって行く


「あっ!!」


あたしは自分の両手が額にあることに気付きハッとするが時すでに遅し


「バカには教えないよ」


そう勝ち誇ったように笑った蒼空はヒラリと風のようにその場を去っていった


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