大空の唄

─────
───
──


やっと撮影が終わり
楽屋のソファーに倒れこんだ


疲労と解放感で大きなため息が漏れる


今日の撮影はこれで終わりか…
そう思うと一気に力が抜け、ソファーの柔らかさと気持ち良さにうとうとしてきた


少しだけ、そう思って目を閉じる


「そーらー」


遠のく意識の中に微かに聞こえる声


無視、無視、ともかく今は眠りたい



だけど………



「おいっ、何寝てんだよ」


ガツッ


「いってぇ!!」


頭部に走った痛みが眠りかけた俺を目覚めさせた


目を開くと悪戯に笑う翔と陽


「空くん♪早く帰ろう」


八重歯をちらつかせる陽の手には、もうすでに俺の荷物が握られていて


「てか、早く!!!」


そう引きつる笑顔で翔が俺の手を掴み無理矢理起こされた


ったく…


こいつらは1度言いだすと
しつこいんだよな…本当…


俺はため息を着きながらも
しぶしぶ帰る準備を始めた

< 50 / 378 >

この作品をシェア

pagetop