大空の唄



「空〜詳しく教えろよな」


控え室を出てスタジオの廊下を2人に挟まれるように歩いていると


右から陽、左から翔の声が交互にに耳に入って来る



「教えろつったって何を…?」


正直なところこれしか言いようがない


そんな俺を翔は目を細め口元を緩めながら明らかに俺を疑いの目で見てくる


「しらばっくれんなよ!

お前とバイトの女の関係だよ」


きっと何かを期待している翔に


「だから、ただのバイトの奴だって」


冷たくそう答えた


どんなに期待されても、真実だからこう答える以外ない


正直この2人が信じてくれるとも思わないが…


「空ってカラオケでバイトしてるんだっけ?」


「ああ」


陽の問いに視線を正面にしたままうなずく


こんな面倒な事になるなら、あいつに風邪を引かせた方がましだったかもしれない


「偉いね、空は…」そう呟かれた陽の声をぼんやり聞きながらそんなことを考えていた


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