大空の唄
翔の声に指の先を辿った。でも目の前に空の姿は見当たらない
『ここって?』
半分諦めたようにたずねる。やっぱりそう簡単に空のファンに空の居場所なんか教えてくれないよね…
からかわれたんだと察したあたしは悲しくて少し眉を下げた
期待したあたしが馬鹿だった…と…
『ここはここだよ!!』
ニヤニヤと相変わらず指を指す翔
『あぁここか!!って…アハハ、冗談ですよ…馬鹿には見えないっていうあれですか?裸の王様的な』
顔は笑っても期待を裏切られた時の喪失感に心が沈む
するとそんなあたしに気付いたのか翔は慌てたように手を振り始めた
『いやいや、冗談じゃないよ?』
そう言った翔の顔が妙に真剣だったのにあたしは焦った…
冗談じゃ……ない……?
念のため再び翔が指差していた方を確認する
でもやっぱりそこに空の姿はなくて…
居るのは不機嫌そうに立ち尽くす蒼空だけ
『からかわないでよ、この蒼空じゃなくて…』
『じゃあさ、この蒼空が空だって言ったらどうする?』