大空の唄


少し低いトーンで再び尋ねると翔はめんどくさそうに大きく溜め息をつき鏡を閉じた


「絢音ちゃんが気付かなくったって

絢音ちゃんの話を聞いた友達や家族、バイト仲間が気付くかもしれない

そしたら空にとっても、俺らにとってもかなり厄介だろ?」


な…なるほど…


呆れたようにそう言う翔に ほんと悔しいけど頷くことしか出来ない


あの時は焦りとそれを隠そうとすることに必死でそんなことまで考えられなかった…


何て言ったって言い訳にしか聞こえないだろう


ちょっとした敗北感


「ぢゃあ仲良くしようって言った理由は?」


陽が凹む俺の隣に腰を掛け翔の方へ身を乗り出す


「それは仲良い友達と顔見知り程度の他人、どっちが信じられるかってことだよ

悪い言い方すれば保険」


あの短時間の間にそんなことまで考えてたのか


不覚にも感心してしまった


この頭の回転の良さとクールな感じ


これがテレビの中の翔からは考えられない翔のもう1つの姿


どっちの翔が本当の翔なのかは俺にも良く分からないけど…


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