大空の唄
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何飲もう…
近くの自販機の前でぼーっと立ち尽くす
『じゃあ何で絢音ちゃんを突き放そうとしないんだよ?』
翔の言葉が鮮明に頭に響きわたった
あー…意味わかんねぇ
けっきょく翔の質問に答えることなく
逃げるようにここに来てしまった
くそーっ翔のやつ、常にふざけて俺を困らせるくせに
真面目になっても困らせる気かよ
「はぁ…
んなこと、俺にも分からねぇよ」
手に力を込めて乱暴に自販機のボタンを押すと
ガタッとジュースが出てくる音がした
自販機の取り出し口にひっそり隠れる苺ミルク
『蒼空は何飲みたい?』
『僕はねーいちごみりゅく!』
『蒼空は苺ミルク好きね』
『うん!だいしゅき!』
急に脳裏を過った声を掻き消すように乱暴にそれを取り出した
あーくそっめんどくせぇ…
信じられる訳ないだろ…
この世が嘘で溢れてること
痛いほど知ってんのにさ…