大空の唄
「……」
「……」
急に会話が無くなり黙々と箸を口に運ぶ美咲
事の発端であるあたしは
もちろんその沈黙を破ることができなくて
同じく黙々と手を進める
気まずい…
そう思うと美咲の方さえ見えないでいた
賑やかな教室から孤立した沈黙の時間
そして
「あっ!絢音、東城先輩!」
それを打ち破ったのは、以外にも美咲だった
「えっ!?」
不覚にもその名前にテンションが上がり
反射的に美咲の視線を追いかけた
「東城せんぱーい!!」
あたしの口はその人物を視界に捉えた瞬間
考えるより先にそう叫ぶ
「おぅ!絢音!」
あたしの声が届いたのか先輩は立ち止まって
こちらに向き直すと笑顔で手を挙げてくれた
いつもならすぐに先輩のもとへ飛んで行くんだけど…
あたしはそれを躊躇った
ちらっと目線だけを美咲に向ける
「美咲も行こう!」
「へ!?なんで?」
ちょうど食べ終わっていた美咲は空の
弁当がんを片付ける手を止めて驚いたように目を見開いた
「えーっと…1人より2人
2人より3人の方が楽しいから!」
ちょっと無理矢理っぽい…?
でもあたしは今美咲を置いていくことが
どうしても出来なかった
「…ふっ、何それ」
しばらく固まっていた美咲の表情がふわっと緩んだ
「仕方なく!着いてってあげる」
そう言って意地悪に笑う美咲を見てあたしは大きくうなずいた