大空の唄



ガツッ


「いったーい!!」


鈍い音と共に痛みが走った頭部を手で押さえて振り返る


「でかい溜め息…」


そこには何事もなかったように立ち尽くす蒼空がいた


手にはプラスチックのお盆……


「何で叩くの?」


「ぼーっとしてたから」


あぁ…なるほど!!


「……ってなるかぁ!」


ぼーっとしてたからって
頭叩かなくてもいいじゃん


あたしは蒼空を睨み付けた


「バイト中ぼーっとしてるやつが悪いんだろ?」


「バイト中寝る人に
言われたくないから!」


蒼空が空だったことにプラスして
先輩に会ったことで


正直あたしの頭には他のものが入る隙間などなくなっていた……


あ、蒼空……


忘れてた…


あたしは空である蒼空をチラッと見る


「何だよ?」


「嫌、何でも…」


容姿が蒼空な分昨日よりは緊張しなかったけど
やっぱり変なかんじ…


「何でもないならさっさと手動かせ」


「はい、はい」

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