大空の唄
「誰?こいつ?」
こ…こいつ!?
上から見下すようにあたしを見るレンズ越しの瞳…
ば…馬鹿にされてる…
初対面のしかもこんなマイナーっぽい奴に見下されたあたしは拳を握りしめて感情を抑える
「新人の泉 絢音ちゃん」
「ふぅーん」
自分で聞いたくせに興味なさげに適当な返事をしたそいつはチラッとあたしの方を見た
再びぶつかる視線…
「よろしくお願いします」
ムカつくけど、とりあえず…
引きつる口で笑顔を作ってお辞儀をしてみた
一応、バイトの"先輩"だし…
あたしもそこら辺の礼儀ぐらいわきまえている
「どうも、」
そう言って目線を変えた"地味な眼鏡の男"
略して"地味眼鏡"は
「作り笑い、嫌いなんだよね
頑張って笑ってるけど可愛くないよ?」
そう呟くように付け足すと
後ろを向きヒラリと手を上げ
あからさまにめんどくさそうに部屋を後にした
パタン
扉が閉まった時の小さな音が
部屋に妙な雰囲気と静けさを残した