大空の唄



「分かったよ…歌えばいいんだろ?歌えば…」


俺は半分ヤケクソな気持ちで立ち上がる


いつもあんなに大勢の前で歌ってんだ


これぐらい余裕だろう…


「よっ!色男!」


「ヒューヒュー」


茶化す翔と陽を横目で睨みつつ
奥の部屋からアコギを持って来て
ソファーに腰を下ろす



「リクエストは?」


軽くチューニングしながら尋ねると
絢音の顔は今までで一番の笑顔を見せた


「"little song"」


トクン


凍りついた心が小さく脈打つ


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