カウントダウン・パニック
すると本城は安心したかのように椅子に座り直す。


「本当はあの事はあまり気にしてないんです。勿論悔しくないって言ったら嘘になりますが、舞台を降りてから今日まで沢山幸せも得ました。」


そう語る本城からは本当に幸せなのだという事が伝わってくる。


「でも、今更でももし真実を知る事が出来るならそれだけは知りたいと思ったんです。これは私の望みでもあり、湯布院さんの願いでもあるんです。」


本城の言葉を聴き終えると藤森は向ききっていなかった体を本城にしっかりと向けその場で敬礼した。


「分かりました。」


そして軽く会釈をすると部屋を出た。

出てすぐにいた刑事に中に入り本城を爆弾回収が完全に終了するまで見ているように指示をする。

それから別の刑事を二人呼ぶと五年前に花房歌劇団で起きた薬物事件に関する資料を至急集めるように指示した。

もし集めた資料の中に“ヘルマン”宛ての手紙があれば直ちに持ってくるようにとも指示をだし、藤森は劇場に向かう。
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