カウントダウン・パニック
風間の隣りに立っていた藤森がメモを確認する。

「だから、もし時間内に爆弾を撤去出来なかったら例え気休めにしかならなくてもギリギリまでカーテンコールを延ばそうと考えていたんです。」

「ちょっ、ちょっとまって下さい。」


淡々と話す柿沼に風間はストップをかける。


「そのカーテンコールは延ばす事が可能なんですか?」

「まぁしすぎると怪しまれますがある程度なら。」

「それは今回のオペラに限らずどのオペラでも言える事ですか!?」

「そうですね。カーテンコールの終了時間は毎回変わりますから。」


それだけ質問すると風間は柿沼に礼を言う。

柿沼は第三幕の準備もありそのまま守衛室をあとにした。

その背中を見送る守衛室に残る面々。

部屋に残った風間と藤森の間にやや重い空気が流れる。


「藤森、分かってるな?」


風間は藤森の方を見ながら確認する。


「はい。」


それに力強く返事を返す藤森。


「犯人は今もこの劇場内にいる!」
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