カウントダウン・パニック
20時07分14秒



一階客席



ここでは刑事達が総動員で残る一つの爆弾を休憩時間中ずっと捜していた。

しかし開演まであと五分を切ってしまった今でもまだ発見出来ていない。

客席なので隠せそうな場所と言えばかなり限られてくる。

それにも関わらず見つける事が出来ない。

残り一分を切ってしまい、仕方なく一同は切り上げる事にした。


「なんでないんだよ!最後の一つなのに!」


応接室に向かう途中渡辺は悔しさを露わにする。


「多分最後の一つはちゃんとあの第十エリアにあるはずよ…他の爆弾がしっかり所定の位置にあったんだから一つだけ違うなんて有り得ない。」


渡辺の隣りを歩く赤羽は冷静に答える。


「だが、実際第十エリアにはなかったんだぞ?」

「分かってる。」


寺崎にも迫られたが赤羽は眉の一つも動かさずに考える。


「何かが引っかかるのよ…」

「何かって、なんですか?」


渡辺は少し前を行く赤羽の背中に話し掛ける。
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