カウントダウン・パニック
「警部、奴の座席が分かりました。」
「そうか。どの辺だ?」
「えっと少しお待ちを…」
すると藤森は一緒に持ってきておいた劇場の客席部分の見取り図を取り出した。
「1―10―1だから…Bの扉から入ってすぐです!Bの扉に急ぎましょう!!」
見取り図をしまうと二人はBの扉へと向かった。
すると数分もしないうちに走っていた二人の耳に突然拍手と歓声が聞こえてきた。
〔藤森警部補!たった今終幕しました!〕
携帯から赤羽の声と拍手、そして歓声が響く。
「くそっ!」
二人は更に走るスピードを上げる。
〔あっ!今星が席を立って外に出ます!〕
藤森に言うが返事が返ってこない。
聞こえるのは息切れだけ。
〔藤森警部補?〕
「はぁっご苦労様。はぁっ…はぁ、携帯切るぞ。」
電話を切ると携帯をポケットにしまった。
「やっと見つけましたよ。ヘルマン…いや、建築家の仁科経政さん!」