カウントダウン・パニック

風間が指示を下す言葉の中に意味の分からない単語が現れ渡辺は直ぐ隣りに立つ赤羽に耳打ちをする。


「あの…“オーケストラピット”って何ですか？」


すると赤羽は声を抑えて話す。


「舞台と客席の間にあって、客席よりも低い位置にあるオーケストラ用の演奏場所よ。」


渡辺はなるほどと二、三度頷くと再び風間の話しに集中する。


「休憩時間は三十分が二回、つまり一時間だが人の出入りを考えて実質上四十分前後だと思え！丁寧且つ迅速に捜索しろ！」


風間はマーカーの蓋をはめるとそれをホワイトボードのさんに置く。

そして刑事たちの方へ向き直る。


「それから今回の事件の事は知っているように先ほどの舞台監督、劇団団長、指揮者、事務員、それから係員と警備の者しか知らない。」


一瞬にして辺りの空気がより一層緊張に包まれる。

「だから舞台とオーケストラピットを捜索する場合は客同様バレないように慎重に捜索に当たるように！」

「はっ！」

「それでは今からエリア分担をする。指示され次第各自配置に着け！手荷物検査する者以外は開演まではなるべく怪しまれないように捜索するように！」