カウントダウン・パニック
「確かあの男の趣味は居合いだぞ?とても音楽何て…」
「どうやら居合いと音楽を好んでいるみたいです。実際久宝の家には居合い用道場と小さなコンサートホールがあるらしいです。たまに友人などを招いてコンサート開いているらしいですよ?」
風間は言葉を失った。
これほどまで、金を持て余す人の考える事が理解出来なかったのは多分初めてであろう。
「それに予(かね)てからこの土地にオペラ劇場を作る予定がある事を知っていた久宝は自宅からも近いという事で絶賛し、ここを建設するために多額の援助金を国に寄付していたそうです。」
「そうか。それでなかなか立ち退きをしない沢登に金で踊らしたというわけか…。」
風間は手を拱(こまね)きなるほどと頷く。
「だが汚い金はおいておくにせよ、沢登はそれで解決したんだろ?なぜリストアップされるんだ?」
「実は沢登は叩きつけられた五千万を受け取らずにそっくりそのまま久宝に返還した上で強制的に立ち退きさせられていたんです。」
「じゃあ沢登は本当に強制的に退かされて、ここが建設されたって事か!ならばこのじゃまな建物をなくそうとしていても不思議ではないな。」