カウントダウン・パニック
寺崎はもう一度犯人の電話の録音を聴く。


「この“急がないと主役は己の数字に喰われる”だが主役ってここでいったら普通今日のオペラの主役って意味じゃないか?」

「でも警部は爆弾って言ってましたよ?」


渡辺は風間が言っていた事を思い出す。

するとすかさず赤羽が言う。


「それは多分、“己の数字に喰われる”ってところでそうとらえたのよ。」

「じゃあやっぱり主役って今日オペラで大役してる人の事ですかね?でもそうしたら“彼等は自らの場所でその時を待っています”って舞台の上で爆発するのを待っているって事ですか?」

「そういう事になるな。」

「じゃあ“己の数字”って主役の人達の誕生日とかですかね?」

「誕生日?」


渡辺の発言に赤羽と寺崎は首を傾げる。


「はい。主役で数字っていったら誕生日、身長…」


渡辺が指折りしながら数字で思いつくものを上げていく。


「もしかしてこの数字ってスペルの数を表しているんじゃないか?」


寺崎は思いついたかのように言う。


「スペル?」


赤羽と渡辺は顔を見合わせる。
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