カウントダウン・パニック



「…そうですか。分かりました。」


話しを聴き終えると風間は横でメモを取っていた藤森を見て相打ちをする。

すると少々がたいの良い柿沼が遠慮がちに切り出してきた。


「あの警部さん、一つ気になる事があるのですが。」

「はい、なんでしょうか?」


すると一瞬考えてから話しだした。


「たまたまかもしれませんが実は犯人が名乗る“ヘルマン”というのが今日公演するタンホイザー中に登場する人物の一人なんです。」


すると持ち合わせていたタンホイザーのパンフレットを取り出し登場人物のページを開く。

そしてヘルマンの文字を指差した。


「あっ、本当ですね。」


メモを取っていた藤森が答える。


「今日の公演に合わしたとも考えられるんですがそうするとなぜタンホイザーではなくヘルマンなのか気になって。」

「うーん、多分柿沼さんの言う通りなぞらえているんではないでしょうか?タンホイザーではなくヘルマンにしたのはそのほうが言いやすいとか。」

「はぁ、そういうものですかねぇ?」


柿沼はどことなくふにおちない様子である。
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