カウントダウン・パニック
「『本城江梨子様 当日開場直後西階段にてお待ちしております。来ていただいた折にはあの真実をお教えします。』…それであなたは今日西階段で待っていた訳ですね?」
「はい。…でも開演間際になっても現れないからもしかして外の西階段かと思って行ってみたんですけど…」
「外?」
「はい。楽屋裏の搬入口の西側に階段があるので。」
「でもそこにもいなかった。」
藤森が確認すると本城は頷く。
「それでやっぱり中の事かと思って入り口に戻ってきたら立ち入り禁止になっていて…仕方なく家に帰る事にしたんです。」
「じゃあいつはめられたって分かったんでか?」
「帰る途中です。なんかたくさんのパトカーが劇場に向かって行くのを見て気になって引き返したんです。そこにいた報道陣とかの中継聞いてたら爆弾仕掛けられたって言っていて…」
「それではめられたって分かったんですね?」
そう質問すると本城はずいっと藤森の顔に近づいた。
「そうです!誰かがアリバイ工作のために手紙で呼びつけて私を犯人に仕立てたんです!」
藤森はつらつらとメモをしていく。