カウントダウン・パニック
間髪入れずに質問するとまたしても本城は鞄から何やらガサガサと取り出す。

そして取り出したそれを机に広げた。


「これは…!」


それは紛れもなくあの劇場の見取り図であった。


「これをどこで?」

「二通目の手紙と一緒に入ってたんです。当日迷わないようにしっかり覚えておけってここに書いてありましたから。」


本城は見取り図の端に書かれた文を指差しながらいう。

勿論その文字も筆跡鑑定で引っかからないように定規を当てて書かれてある。


「そうか…当日警察が来る事を想定しているなら怪しまれないようにそう指示するか…。」

「もともと歌詞を覚えるのが本職だったのでこれを覚えるなんて容易いものでした。」

「そうですか。」


藤森の手がメモの上をすらすらと走っていく。


「それで、“あの事”とはなんですか?」


すると本城が俄かに下を向いた。


「もしかして一年前の事と関係あるんですか?」
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