そのときは。
9 p.m.
しばらくそのまま自分自身を塞いでいると、今度は今までとは違ったメロディが流れ出した。
左手に感じる振動。
それは、ユウからの着信を知らせるものだった。
どうしよう…
何通もやりとりをしていながら、今更、直接話すことに躊躇ってる。
なのに、都合良く現れたユウに、すがり付いてしまいたいとも思う。
明らかな動揺をごまかすため一呼吸だけおいてから、そっと通話ボタンを押した。