そのときは。
段々耳に馴染んできて、少しずつ、ユウの声に心地よさを感じていく。
「あたしの元カレもさあ、高校の時の同級生と良い感じになっちゃって、“ごめん、好きなひとが出来た”だよ。ユウは?」
『俺?俺はマジで悲惨よ。彼女、一人暮らしだったんだけどさ。彼女ん家の近くまで行った時にふらっと寄ったら、リアルで真っ最中に遭遇。』
「うっわー!それキツイキツイ!」
『貰った合鍵で入ったんだけどさーせめてもうちょっと場所とか考えろっつの』
それからは、お互い愚痴の言い合いだった。
話すごとに共通点が増えてきて、互いに傷を舐め合う。
どんな話でもユウは軽い調子で話すから、あたしもつられて、ついつい元気そうな声を出してしまっていた。