そのときは。
外では、相変わらず続く雨音。
さっき閉じたカーテンで窓の向こうは見えないけれど、きっとまだ本降りのままなんだろう。
「雨、止まないね」
いくらか間の空いた後で、あたしがポツリと溢した言葉を、ユウは聞き逃さなかった。
『ん?まあ6月だしな。梅雨の時季は仕方ないって』
「まあね…でもこんなに降り続くとちょっと嫌んなるよ」
『亜紀ちゃんは、晴れが好きなんだ?』
語尾を下げてユウが聞く。
「うん、気分が下がってる時こそ青い空が見たいなあって。」
『そっか…でも、明日は晴れるよ』
「うっそ、晴れるわけないよ。お天気お姉さんも“今週は全国的にぐずついた天気になるでしょう”って言ってたし」
口調を真似して言ったあたしに、ユウは、あははっと笑って、
『大丈夫。明日はきっと晴れるから』
と言った。