そのときは。
時刻は夕方。
まともに明かりをつけていないせいも相まって、部屋はどんよりと暗い。
この湿った空気に触れたくなくて、あたしは布団を頭から、ぐい、と被り直した。
瞬きを繰り返す度に、まつ毛がしぱしぱと不快な音をたてる。
別に永遠の愛なんて信じてはいなかったけど、この関係に終わりが来るとも、思っていなかった。
ましてや一言で、「好きな人が出来た」の一言で、簡単に終わるような関係だったなんて。
悠の細い腕で寝る度に、照れながらも囁いてくれた愛の言葉は、淀みながら囁かれた言葉一つで、あっけなく散ってしまった。