そのときは。
ユウの意図がよくわからなかったけど、きっと雨続きのあたしを励ましてくれてるんだと思って、また一言「ありがとう」と伝えた。
「ううん」という返事がした後は、少しの沈黙。
さっきまでずっと喋りっぱなしだったのに、急に静寂が押し寄せてきて、途端、不安にかられた。
ほぼ毎日のように、寝る前は電話で話をして。
あたしはいつも、悠の声を子守唄にしてた。
彼は柔らかい話し方をするからいつも途中で眠くなって、毎回、翌朝一番に「先に寝ないでよ」と笑いながらたしなめられた。
でもその日課も、二週間前になくなった。
胸が震える。
気がつけばあたしは「悠、悠」と繰り返し呼んでいた。