そのときは。
「悠、悠…っ」
繰り返し呼ぶ名前が誰を指してるかがわかるのか、ユウは静かに相槌だけを打つ。
「ずっと、一緒にいるって言ったのに…」
『うん』
「好きだって、大好きだって、言ったのに」
『うん』
「あたしはまだ、好きなんだよ。」
『うん』
「“好きな人が出来た”って、あたしはいつから、悠の好きな人じゃなくなったの」
『うん』
ずっと行き場のなかった想いが暴発して、初めて感情が止まらなくなった。
涙が、頬を伝った。