そのときは。
「やだ、好きなのに…別れるなんて、やだよ」
『亜紀…』
「悠が、知らない子と付き合うなんて、考えられない」
『亜紀、』
「あたしの時と同じ笑い方で、同じ喋り方で、なのに相手はあたしじゃないの」
二人の2年8ヶ月が頭の中を猛然と駆け抜けて、脳内が、かあーっと熱い。
真っ赤な顔で告白された日。
照れながら手を繋いだ日。
たぶん、あたしの目は今、あの時の悠よりも真っ赤だ。
嗚咽が止まらない。
一度ネジが緩んだらもう止まらなくて、ずっと奥深くに仕舞っていたものを、全て感情のままにぶつけた。