そのときは。

…そんな…。


ユウのおかげで少し立ち直れたと思ったのに、今は彼の姿すら残ってない。


落胆の溜め息が出る。


結局、何も変わっちゃいないんだ。


現実も、あたしの気持ちも。





目頭からじわりとした感覚。


右手でごしごしと擦ってごまかした。





こんな悶々とした気持ちをなんとかしたくて、水でも飲もうかとベッドを抜けると、カーテンの向こうから光が漏れてることに気付いた。


いくら梅雨の時季と言えど、日が出てるのは別に珍しくない。


だけどなんとなく惹き付けられて、あたしはカーテンを勢いよく開けた。

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