そのときは。
液晶を覗けば、ケータイは力尽きていた。
どうやら壁にぶつかった衝撃で、電池パックが外れたみたい。
電源を入れ直すと、シャラーンという間抜けな音と共に、待受画面に切り替わった。
映し出される、3ヶ月前の悠とあたしの姿。
夜景をバックに、幸せそうな笑顔を浮かべてる。
順調だと思ったのに…。
あたしたちの間に問題は何もなくて、周りから「仲良いね」って言われる度に、なんだか誇らしい気になってた。
それも結局は、あたしの思い込みだったんだけど。
ねぇ、悠。
手、繋いでよ。
「亜紀の手、冷たくて気持ちいい」って、また前みたいに笑って。