sweet lovers A
「海羽」

 教室に戻ってきた千佳が、心配そうにあたしの名前を呼んだ。

「あたしは、大丈夫だよ」

 うん。
 あたしは大丈夫。
 沈んでる姿を見せるなんて、協力してくれた千佳に悪いもの。

「それより、ケーキ食べようよ」

 あたしは千佳の為に用意したブラウニーを鞄から出す。
 千佳は笑って、「私も」って、紙袋の中から大きな箱を取り出した。

「海羽の為に頑張ったよ!」

 箱からは、大きなデコレーションケーキが出てきた。
 お店で売っているような、豪華なチョコレートケーキ。
 クラスのみんなが、千佳のケーキに注目してる。

 あたしにもちょうだい、とか、俺にも、とか。

 千佳のケーキは今回も大絶賛。
 あっという間に無くなってしまった。
 さすがは自慢の親友!

 小さなお皿に、ちょこんと取り分けられた2人分のケーキと、千佳の為にあたしが作ったブラウニー。
 残り少ない昼休みを、あたしと千佳は甘い幸せに浸って過ごした。
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