sweet lovers A
 あたしはびっくりして、手に持ったブラウニーのことを一瞬忘れていた。

「それ、チョコ?」

 あたしの顔はきっと、ゆでダコみたいに赤いんだろう。
 耳も手も、全身が熱い。

「あ、はいっ。あの、あたし、先輩のファンなんです!」

「放送聞いてくれてるんだ? ありがとう」

 笑ってる先輩は本当に格好良くて。
 きらきらしていて。
 こんな風に先輩と話せるなんて、思ってもみなかった。

「あのっ、これ……受け取って貰えますか!?」

 先輩にみとれたまま、あたしはブラウニーを差し出した。

「うん。俺、チョコ好きなんだよね」

 先輩、嬉しそう。
 本当にチョコが好きなんだ……。

 あたしはそんな風に考えながら、あたしに近付いてくる先輩を見つめてた。

 一歩、一歩。
 先輩が近付く度に、鼓動が高鳴る。

 心臓が破裂して、死んじゃいそう!!

「ありがとう」
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