sweet lovers B【BL】
「俺、持つよ」

 買い物袋を奪った成都は、さっさと歩き出す。

「ごちそうになるんだから、これくらいさせてよ」

 そう言いながらも、その視線はバレンタインのチョコレートコーナーに釘付けになっていた。

「チョコレートが俺を呼んでる……」

 ふらふらと引き寄せられるかのように歩く成都を、俺は思わず引き留めた。

「待て!」

 がっちりと肩を引き寄せて、俺は声を潜める。

「頼むからやめてくれ」

「なんでだよー」

「男がアレを覗くのは恥ずかしすぎるだろ!」

 するりと俺の腕から逃げた成都は、ニヤニヤ顔で俺を振り返った。

「清治は気にしすぎだよ」

 そう言って笑う成都は、そのままチョコを見に行くのかと思いきや、出口の方へと歩いていった。
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